アメリカのクリントン政権時代に当時のジョセフナイ国防次官補
が「対日超党派報告書」という論文を発表し、その中で以下のよう
に述べている。
「日本海にはサウジアラビアを凌駕する石油が眠っており、アメリ
カはそれを手に入れるために日中戦争を起こさせる必要がある。
日本の自衛隊を戦闘に参加させ、途中から米軍は手を引いて両
国だけの戦争に誘導する。そのための前提条件として、自衛隊が
海外で軍事活動ができるような状況をつくっておく必要がある。」
20年程前のアメリカの考え方の中にある日中戦争を引き起こす
ために自衛隊を海外で軍事活動できるようにしておく、という視野
がまさに今、実行されようとしている集団的自衛権を行使させるた
めの安全保障法案の国会における強行可決である。
いかにして日本の自衛隊を海外に軍事展開させ、戦争に巻き込
ませるかという思惑は長期間に渡って醸成されてきたと言える。
上記の論文では日本海に眠る石油を獲得するためとされている
が、20年が経過した現在は他にも様々な思惑が加味されている
ことであろう。
予め予想された通りに昨日の特別委員会での強行可決に続き
衆議院本会議でも安全保障法案が強行可決された。
野球は筋書きのないドラマであるが政治は筋書きのあるドラマ
である。
筋書きを作成している作者がいて、その台本を役者である政治
家に命じる。多少のアドリブは許されたり認められても台本から逸
れる事を発言したり行ったりすれば作者やメガホンを持った監督か
らこっぴどく叱られる。
演劇やテレビドラマ、映画と本質は全く同じである。
俳優や女優がドラマの撮影において台本と全く違う台詞を話せば
カットされる。演劇の舞台で編集がきかない状況で役者が台本と全
く違う台詞や芝居をしたなら、場合によっては突然、幕や緞帳が降り
てきて中断になる。
政治も極めて本質は同じである。
台本が決められていて、それを政治家が演じているだけに過ぎな
いのが悲しいかな、今の我が国の現実である。
もっとも、政治家と言ってもシナリオや台本を与えられ命じられる
のは各党幹部以上の政治家で、それ以外の政治家や自称政治家
には台本やシナリオの存在すら知らされない。
従ってアベノミクスも今の首相が安倍首相ではなかったとしても、
例えば山田首相だったとしても行われていたのであり、その場合は
ヤマダノミクスと呼称されていただけのことである。
安全保障法案についてもとにかく可決するようにという強固な命令
とそれを命じたシナリオがあり、政治家はそれに沿って「進行」するに
過ぎない。
余程のシナリオ変更がない限り、安全保障法案は国会で可決され
てしまうだろう。
しかしそれが我が国の悲劇の始まりとなる。
決まりきった台本やシナリオをこの国会で見せ付けられてしまうの
か、それとも奇跡が生じるのか。
悪夢のような台本ならば停止もしくは変更があって欲しい。
安全保障法案が成立すれば、アメリカに誘われてアメリカの代わり
に日本の自衛隊が中東に行くように命令され、それに従えばとんでも
ない事態に発展する危険性が高い。
何とかして日本を争乱に巻き込みたいという大きな目的が感じられる。
今までの時代は日本を巻き込みたくても、また日本本土を攻撃したくて
もその口実がないために攻撃できないできた。口実がない、大義名分が
ない中でもしも日本本土を軍事攻撃したならば、あからさまに全世界に
対して攻撃した国や勢力はその非道さや残虐さを露見させてしまう。
しかし集団的自衛権の行使を自衛隊が行ったなら、もはやそれは軍事
行動であり、虎視眈々と日本を攻撃したいと待ち望んでいた国や勢力か
らすれば垂涎の的、待ち望んだ大義名分を得ることになる。
また今まではアメリカやイギリスが標的にされていたイスラムからの敵意
を日本にも向けさせたいという思惑をも感じる。
いくら日本にその意思は無くても軍事行動(ただそこにいるだけででも軍
事行動に見なされる)により巻き込まれて結果として今は親日のイスラム
を敵に回してしまう事にでもなれば取り返しのつかない事態になる。
更には上記に述べたように、我が国と中国とを故意に軍事衝突させたい
という思惑もあり集団的自衛権を自衛隊が行使する事がいかに願ったり
叶ったりの状態になるか、いかに飛んで火にいる夏の虫になるかが懸念
されてならない。
シナリオよ止まれ、と願っている。
多数の国民が反対、理解できないとされている中での安全保障法案の
衆議院でのシナリオ通りの強行可決が行われたことについて、安倍内閣
の支持率も通常ならばこれで大きく下落するだろう。
しかしこのシナリオを何が何でも実行させたいという強固な意思がある
ために、あらゆる既存メディアを通じて安倍内閣の支持率は高い、又は
横這いというように「偽装」されるだろう。
日本国民の知性と理性が試されている。
少し別の視点で述べてみたい。
今が安倍首相でなく山田首相や田中首相だったとしても、今同じように
安全保障法案が国会で可決されようとしているだろう。
安倍首相も特別委員会の中で、
「安全保障法案に国民の充分な理解は得られていない。」
と答弁していた。
ならば何故、強行可決するのか、と怒るのが普通であろう。
安倍首相も可能な範囲で精一杯のメッセージを発しているのである。
つまり自分でもどうにもならないのだ、というメッセージを遠回しに発して
いるように見える。
一人の日本国民という立場から申せば、今の首相は傀儡である。
誰が首相であっても同じシナリオが与えられ、国会は同じ展開を広げて
いるであろう。
一人の日本国民として国体という視野で申せば、国体というのは国民
体育大会の事ではなく、我が国の姿形という意味だが、国体においては
内閣総理大臣は天皇陛下の執権である。
陛下の執権である内閣総理大臣が今や傀儡にされているという姿が
今回ほど如実に晒されている局面はない。
思えば安倍首相がアメリカ議会で演説をしたが、いや、させられたという
表現が適切かも知れないが、何かの大きな譲歩や約束、提供があったとい
う裏返しであろう。
何かの大きな譲歩なくして日本の首相がアメリカ議会で大演説をさせて
もらえる筈がない。
その内容の1つが今の安全保障法案と集団的自衛権の行使と言える。
この法案が衆議院で可決され、仮に参議院では否決されたとしても再度
衆議院に戻されて可決され成立し、施行されたなら201X年辺りに東京や
大阪がいつもの日常の時間の中で突然ピカッと閃光に包まれて瞬時にし
て数百万人が消えていた、という光景が生じる危険性が高くなる。
核兵器や中性子爆弾、更には異次元の兵器が我が国に炸裂するという
事である。
事態の深刻さが分かるだろうか。
安全保障法案が施行され集団的自衛権を自衛隊が行使したなら、その
結果何が生じ、そしてどのような事態が生じるかという想像力が大切であ
る。
今は本当に国民の危機である。